1960年5月、旧ソ連から来日した二人の教師は、日本人の踊り手達に、愛情と熱意と、持てる技術のすべてを注いだ。冷戦構造の状況下、米ソ中の対立に翻弄され、わずか4年しか続かなかった学校。しかしそれが、日本のバレエ教育を「お稽古ごと」から「プロフェッショナルの養成」へと羽ばたかせる、歴史的な転換点となる。歴史に埋もれ、忘れ去られていた奇跡のバレエ学校の存在を、膨大な資料をもとに丹念な調査とインタビューによって掘り起こした力作ノンフィクション。
著者:斎藤慶子
四六判上製
[目次]
第一章 ソ連バレエを受け継ぐ東京バレエ学校
第二章 日本人はいかにバレエを受け入れたか
第三章 学校設立の経緯と冷戦期のソ連文化外交
第四章 理事長・林広吉の活動
第五章 教育
第六章 バレエ『まりも』
第七章 スミルノフ版『白鳥の湖』とソヴィエトの『白鳥の湖』
第八章 学校閉鎖とその後
終章